2010年03月16日

絵本『ありさんどうぞ』
作者中村牧江さん、林健造さんにインタビューしました!

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 「小さな穴から出てきたありさんを、夢中になってみていたら・・・!?」

 地面のありを飽きることなく眺めていた、子どもの頃の記憶がよみがえってくる様な絵本ありさんどうぞ。絵本の真ん中を、はじっこを、行列を作って縦横無尽に歩いていくありさん達のその様子は、一目見ただけでもワクワクするのです。
 作者は中村牧江さんと林健造さん(ご夫婦です)。おふたりの最初の作品が『ふしぎなナイフ』だと聞いて、ピンとくる方もいらっしゃるかもしれませんね。それまでは広告関連の仕事をされていたおふたりが、どうして絵本を制作されることになったのでしょう。そして、最新作『ありさんどうぞ』のアイデアはどこから生まれてきたのでしょう。
 貴重なお話をたっぷりお伺いすることができました!お楽しみください。


中村牧江(なかむらまきえ)
東京都生まれ。コピーライターとして、コピー宣伝会議賞銅賞、順朝日広告賞、日経広告賞最優秀賞、東洋経済広告優秀賞などを受賞。日本産業広告賞、毎日公共福祉広告賞など入選。ガイドブック『るるぷ』(JTB)ネーミング。
絵本作家として、林建造氏との作品に『ふしぎなナイフ』『もしゃもしゃ』(福音館書店)、『ちがうのだあれ』『ちかくにいるのだあれ』(ひさかたチャイルド)『てをみてごらん』(PHP研究所)『都市の人びと』(イーテキスト研究所)、『ありさん どうぞ』(大日本図書)がある。

林健造(はやしけんぞう)
愛媛県生まれ。グラフィックデザイナーとして、準朝日広告賞、カレンダー工業技術院長賞、日経広告賞最優秀賞などを受賞。ワルシャワポスタービエンナーレ、セントラル美術館版画大賞、毎日公共福祉広告賞など入選。装丁家として書籍を多数手がけ、絵本作家としての作品は、中村牧江氏に同じ。



■ 絵本『ありさんどうぞ』誕生のきっかけ     

―― お二人の新作絵本『ありさんどうぞ』。この作品がアイデアとして出てきたきっかけを教えてください。

中村牧江さん(以下中村、敬称略):きっかけはね。(林健造さんが)イヌやネコなど、動物の絵を練習で描いておりまして、その中にたまたまありの絵も描いてあったんですよ。これをこうして、こうやったらありらしく見えるとか、そんな感じですね。その描いている絵を見ていて、私が、「ありの行列だけで絵本を作ったら面白そう!」と思ったんです。ありを、全部のページの初めから終わりまで、本の隅を這わせていって、行列だけで本を作ったら面白いんじゃないか、って。だから(林さんに)「本の全部の端を歩かせて、ありの絵本を作ってみない?」って言ったんです。そしたら、すぐ乗ってきてくれたんですね。

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 それで、最初にありのレイアウトを思いついて。
 というのも、自分が小さいときに、部屋の隅をありがずっと這ってたことがあるんですね。たどっていったら台所の砂糖つぼのところに来てたんです。そのたどって見ていたという経験があった事と、やっぱり子どもの頃、しかられて庭にしゃがみ込んでいたような時に、ありを見ていたら、みんな上手に花壇の縁などを通って、端っこをずっと迷いもなく行くわけですね、列が。そういうイメージが思い出されたものですから、バックの情景とかは全部取っちゃって、シンプルに本の端っこだけのレイアウトでいったらいいんじゃないかと言ったんです。大体ふたりともシンプルなのが好きだという事もあって、「それ、いこう。」という話になったんです。


―― 中村さんは、コピーライターという仕事をされていたという事で、どんな風にアイデアを思いつかれるのかというところに興味を持ちます。やっぱりパッとひらめくような感じなのでしょうか?

中村:そうですね。やっぱり広告の仕事をやっていた時に、文と絵とをいつも同時に考える癖が付いてるようなところがありまして。それこそ、パっとね。これがこうなっていくから、こういう画面になるっていうのが浮かんでくるんですね。それで、暗黙の了解といいますか、(林さんが)どういう画面を作るのが得意かというのは分かっていますので、あまり複雑化しないで。そこから一気にストーリーを考えていきました。

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ありさんどうぞ』 中村牧江・さく 林健造・え 大日本図書


■ やっぱり主役はあり!     

―― この絵本の主役と言えば、やっぱりありですよね。絵を担当されている林健造さんがありの行列を描かれることになって・・・。

林健造さん(以下林、敬称略):やっぱり僕も、子どもの頃ありを見ていた記憶はあったんですが、足の形はどういう形をして、どう歩いてるのか、それから、触覚は本当はどうだったのかなって意外と覚えてないんですよね。


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 それで、高尾の方に行った時に瓶を用意して、そこに土を入れて、できるだけ観察しやすいような、大きなありを3匹ぐらい入れて、ありに悪いですけどふたをして・・・。
 持って帰って、よし、やるぞということでスケッチブックに描こうと思ったんです。ところが、アリが瓶の中でパニックになっていたんでしょうね、ものすごい速さで動き回るんでなかなか観察できないんですよ。どうなってるんだ、どうなってるんだって何回も見て、ちょっと描いてはまた見てね。それで、触覚はこんなにあちこち動き回るんだとか、足の6本は、どこから足が出てるのかな、というのを見てね。歩いてる感じはなかなか観察できなかったんですけどね。大体分かったと。それで、描き始めたんです。そこからスタートして、ストーリーに合わせて描いてみて。上の方を歩いたり、斜めに歩いたりしたらどういう形になるか。まっすぐや、上から下からというのも描いてみたりしてね。更に、どういう技法で描くかというので、サインペンのような勢いの出る物でぱっと書いたほうがいいんじゃないかなって。それでいっぱい描いて並べたりしたんですね。


―― かなり時間がかかったのではないでしょうか?

林:描くのはそんなに時間がかからないです。こんな小さいですしね。それで仕上げていって、担当編集者に「できました」って渡したんです。
 ところが、全体の流れは良かったんでしょうけど・・・。何だか力が入りすぎて、足とか何かがね、気持ち悪い様な気がして。実際に、ありの足は直線じゃなくて、関節の所で一回折れて、あちこち動いてるんですよ。足の先も結構長くて。それをかなりリアルに描いていたんですね。
中村:ちょっと不気味でしょう、足がね。比べると分かるんですよね。


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▲最初のラフ。更にズームして・・・


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▲左が最初のラフの中のありさん、右が絵本の中のありさん。比べてみると、確かにシンプルな形になった事がわかりますね!


林:それで、やっぱり編集さんに「全部描き直したい」って電話したんです。その後ね、これ気持ち悪いからどうしたらいいかなあって。ある朝、1匹描いたんですよ。「あ、これだな」と思って。それから、一匹一匹行列を作ったときには、その違いをどうするかということで描いていってみたら、大体いけるなと思って全部描いて。それで、また編集さんに電話して「何が何でも、これを全部描きかえたい」と言ったんです。そうしたら「えー」って。
一同:(笑)
編集者:この最初の方の案で、すごく素晴らしいと思っていたので、どうなるんだろうと・・・。

林:なぜいけなかったのかと言うと、やはり、ちょっと気持ち悪いっていうのと、足の印象がクモのイメージにちょっと似てるんですよね。
中村:意外と、足が6本よりもすごく沢山あるような感じになって、もじゃもじゃしているふうに見えちゃうんですよね。虫の好きな子だったらいいけども、嫌いな子が見たら、ちょっと何か、ぞぞっとするっていうのがあるんじゃないかって。
林:だから、足なんかをだいぶシンプルな形にして。でも、子どもだからと言って、6本出さなかったりというのは良くないと思っているし、おもちゃっぽくもしたくない。やっぱり、ありが本当にここにいるんだというふうに、現実のありに見えるようにしたい、と思って。それで出来上がったんです。結果的には、編集さんも、(大日本図書)社内でも、こっちのほうがいいということになったんですよね。
中村:人によっては、これ(絵本になったほうのあり)は、関節もないしって思う人もいるかもしれないけど。実際、目のところだってこんなに白くはないですし。だから、ある程度はやっぱり絵のありなんですよね。ちょっと表情があったりもしてね。


―― でも、やっぱり並んで歩いている様子とか、すごくリアルな感じがするんですよね。写実の部分と、絵の部分のバランスが面白い。

林:一匹一匹、これは誰々なんてね、名前をつけるわけじゃないですけど、そういう気持ちで、ちょっとずつ変えながら描いていってね。目も下向いたり、細かったりというのがあったりして。ただ、あまりそれを描きすぎて、ばらばらなイメージになっちゃいけないから、本当にちょっとずつ。
中村:でも、結局はみんな似てるのは似てるのよね(笑)。いつも描いてると、だんだんなれてきてしまって、足の位置も同じになってきて・・・。
林:そうなんだよね、みんな同じに見えてくる。
中村:よくよく見ると違うんですけど、似てるけどちょっと違うみたいなね、その辺ですね。


―― 送られてくる入稿のデータには、このありに全部、何ページの何番という番号がふられていたそうで、担当編集者さんもこれには驚かれたそうです。「そうか、みんな違うんですもんね」と思われて。ところが・・・印刷する段階で大変な事が起こったそうで!?

編集者:途中で、「いるはずのありが1匹入っていないんですけど」と、印刷所の人に言われたんです。「ええっ?」ってことになって。「ここのありが出ません」と校正紙を見せられて。それで「探します探します、ありを」って。
中村:編集さんが一番大変で。
林:表情が違うな、と思って描き直したのを入れ替えたんですよね。最後に「入れてください」って言って。そしたらね、1匹だけどっかに行っちゃってて(笑)。もしデータに1匹いなくてもね、印刷で出てこないから。それでひとつ入れ替えたら、何番のありも、もうありの姿を見たらみんな同じに見えちゃって。ちょっと違うな、短いとか長いかとかね。目の動きがちょっとこっちかな、なんて言ったらそれがまた違ってたりする。
一同:(笑)。

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▲写真ですとわかりにくいですが、絵本の中に出てくるありさん全ての画像を出力した資料も見せてもらいました。圧巻です!

編集者:探す時に一回一回画像を開いて、「あ、このあり違う、触角違う」とか、「このありでもない、このありでもない」って(笑)。
林:手順を間違えるとだめなんですよ。最初に絶対これをこう配置するって決めてからやれば良かったけど、やった後に「まてよ。これ、ちょっとビー玉の所のあり、これ変えようか」なんていった時にはもう・・・。それを3カ所ぐらいやるとわからなくなるんですよ。1つだけならいいんだ
けど、ページがかわると「あれっ、何番だったかな」って。


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■ リアルな質感にこだわって     

―― 最後のページは、すごくいいですよね。このクッキーがすごいリアルで美味しそう!というのは勿論、僕が、真上にいるんだっていう状況も浮かびあがってきて。

中村:そう、逆にそのかかわり合いみたいものがないと。ただ見るだけじゃつまんないですしね。このクッキーを描く時も、なかなか大変でね。


―― 実際に作られたとお伺いしました。

林:そうなんです。実際にクッキーを家で作って。それで金づちで割ったんです。
中村:ずいぶんいっぱい作って、幾つも砕いて。

林:少し大き目に作って、真ん中からパーンと割ってね、右の形は、これは残したいな、いいなっていう感じで、みっつぐらいをバランスよく選んでね。それで位置をある程度決めて、写真に撮って。それを見ながら書いたんです。
 最初に描いた時はね、ひどいよねぇ、「泥に見える」なんて言われて(笑)。それから3回目にはね、「ジャガイモの皮に見える」って。ラベルも何もなくて素のままだから、素焼きと同じですよ。だから、断片描いていると自分の絵は石に見えてくる。ところが、現物を見ると、クッキーに見えるわけですよね。それで、技法も色々考えてみて。1回絵の具で描いて、そこに筆に水を付けてね、絵の具をブルブルってやって吸い取らすんですよ。で、もじゃもじゃとした感じが、クッキーに似ているんじゃないかなと思って描いて、1枚描いたらやっと「見える」って。更に粉をふいた感じでちょっと加えてみたりして。
 これが自分のね、もうベストだと思って描きまして。自分は、二度ともうクッキーは描きたくないという感じで。
一同:(笑)。
林:質感が表せないと、ありがいくら来てもね。ありが「おいしい食べ物だな、甘い食べ物だな」というのを思わないと、絵本としてもまとまっていかないですからね。


―― ビー玉の場面もやっぱり質感にこだわって?

林:これはもう、ガラス玉だから、このガラスの感じを描くのは、クッキーよりは易しいですね。あんまり写真みたいにきれいに出来すぎちゃまずいから、一番きれいな出来上がりの手前の段階で。

―― 本当!よく見てみると、縁が少しぼやけて描かれているんですね。


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中村:輪郭も真ん丸というのではなく、少しポチャってして。
林:これでもちょっと、きれい過ぎるのかもしれないですけど。「写真でしょ?」って言われる事もあるんだけど、やっぱり写真に見えちゃうとちょっと。「これ、描いたんでしょう」っていうぐらいのリアル感が一番いいんですけどね。


―― そのビー玉がありの行列に登場するシーンは鮮烈ですね。

中村:やっぱり最初に、赤い玉が目に入ったほうがいいだろうっていうことで、最初のところは赤のビー玉にしたんですね。


―― きれいに列を作っていたありさん達がパッとあちこちに広がる様子とか、また元の列に戻っていく様子なんかが、さり気ない事なんだけど面白くて。そういうのはやっぱり、実際に観察をされたりしたのですか?

中村:そういう観察は、小さい時に経験していますから。子どもの時は、「どうしてありは、前のありに付いて行くんだろう?」みたいに思いますよね。あれは、ありがお尻から誘因物質みたいなものを出すので、そのにおいで付いて行くらしいんですよね。小学校の何年生かの時に、それを聞いて、「あ、そうなのか」って子ども心に納得した覚えがあるんです。だから、迷わずに前に付いて行くんだって。
 でも、ありの行列を見ていると、可愛らしいって思う時もありますけど、ちょっともの悲しいところもありますよね。ひたすら歩いて行くその健気さが、何か可哀そうな感じがして。組織のストレスないのかしらみたいな。


―― そうかもしれませんね。でも、この絵本の中のありにはそんな雰囲気はなくて。

中村:観察している子どものまなざしで描いているのだけれど、あんまり実際にその通りに描いちゃうと、ちょっと残酷と言いますか、不気味な感じになっちゃうから、ユーモラスな雰囲気も出してね。ビー玉に驚いて足をひしゃげさせたみたいな。

林:こういう慌てているところの感じは、実際にありはそうなっているかどうかっていうのは、また別で。
中村:こんなふうにならないですよね。こんな足の形になることはあり得ないです。
林:驚いたり、ちょっとうれしそうな表情をしたり・・・。それがないと、固くなっちゃうからね。全体的に一本調子になると困るので。気持ちを表わしているというのもあるんです。


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■ 色とデザインへのこだわり     


―― ありの行列の絵と字のバランスっていうのも、すごく大きいのかなと思うんですけれども。そういう部分のこだわりはいかがですか?

中村:ほかには何も要素がないですからね。例えば、色々と絵が描き込まれているようだったら、それ程でもないですけど。結局この本は、文章とこのありしかないですし、色もピンクと黒しかないですから。その辺はやっぱりこだわりました。行列を配置する時には、例えば、「はみでない」という文のところは、ページの上ぎりぎりにしてもらうとか、「あ、ななめ、これは絶対やりたいな、いいな」とか。
林:最後はもう、一直線に行った方がいいと。目的物が見つかった時はもうまっすぐに。


―― なるほど。絵本の中でありさんがどう進んで行くかというような事は、ご一緒に考えられたりするんですか?

中村:画面の中をこう行ったりとか、とにかく端っこを行列だけで行きたいなど、最初にそういうレイアウトの希望は私が言うんです。じゃあ、このページにこう来たら、次はどう行くかみたいなのはすごく相談しますね。ここで上に行ったから、今度はこっちに這わせたいみたいなことを。ですから、この本の場合は、最初にイメージはもう決まっていて。「あとは絵を頑張って下さい」って。
一同:(笑)。


―― 表紙の色の鮮やかなピンクがすごく印象的。絵本の中のデザインが出来上がってから決定されたのですか?

林:中のページが白で単純明快ですからね。外側の表紙を複雑にしたり、分かりにくくするとバランスが悪くなるので、中の延長線上で考えて。
中村:描き込まないで、シンプルに、簡潔にね。
林:でも、色は冷たい色じゃなくて、最後に登場するクッキーに合うお菓子のイメージ、お菓子屋さんのイメージでピンクにして。
中村:アマンドみたいな色ですね(笑)、色味的には。(有名な洋菓子屋さんのイメージカラーも鮮やかなピンク!)
林:マゼンダ100パーセントっていう、こんな色を使ったのは初めてでしたね。クッキーというので、オレンジ系というのも考えたんですけど、やっぱり甘いピンクのほうがいいかなって感じがして。子どもっていうことがありますよね。まずは子ども好みっていうイメージもあって。


―― その色味自体に甘さとか、雰囲気とか、そういイメージがあるということで使われているんですね。

中村:中がけっこうクールなので、外側は甘ったるく。表紙も同じイメージだったら冷たくなってしまうでしょうしね。
林:他の本と違った方が、パッと見て目立つというのもありますけどね。


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―― この表紙の字体も林さんがデザインをされているそうで。

林:そうですね。最初は普通の活字を使っていたんですけど。これは、一度太いマジックインクで、「あ」からずっと書いて、ある程度スタイルがこれでいいなというのを選んで、置いてみて。書面にしたときに、これでいいかなと決めてから、それをトレースして。それで、柔らかく描きすぎたものを、固めにまとめたんですね。ただ、あんまりそれも、冷たい感じじゃなくて。そうやって「あ」から「ん」まで全部作っています。そのあと片仮名、平仮名を作って置いてあるので、それで文章もまとめようと思えばまとめられたんですけどね。実際にやってみたら、作り過ぎた感じでよくなくて。結局、中は活字なんですけど。今後、機会があれば、それを文章にもできるかなと思って自分でファイルしてあるんですけどね。
中村:その辺は、この人はイラストレーターじゃなくてデザイナーですから、職業柄そっちのほうのこだわりが強いですね。


―― この帯の文章は中村さんが考えられたそうで!すごく効果的ですよね。ああ、そういうふうに読めばいいんだっていう導入をしてくれる。プロの方にはとても失礼なんですが(笑)、さすがと思ってしまう。

中村:ええ、これはちょっと苦労したんです。自分のものに帯のコピーを付けるというのは、いいのかしらっていうためらいがありましたので。でも、まあ、やらせていただいて。自分のものを宣伝するみたいな感じは避けて、「見つめることや見守ることは愛することに通じる」という思いを込めました。

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▲帯文の前、後より。




■ 完成してみて・・・     


―― 子どもたちにはどんなふうに楽しんでほしいですか?

中村:やっぱり、今のお子さんというのは、マンションの上の階に住んでいる方も多いですよね。昔だったら、ありなんかは誰でも一度は見たことがあるんじゃないかと思うんですけど、庭もなくアスファルトの道を通って幼稚園へ行くようなことがありますから、そういう機会が減ってますよね。こういう絵本をきっかけに、どこかの道を歩いたときにありがいて、「あ、ありだ」なんて目を止めてくれたら嬉しいな、と思います。まずはそれがきっかけになって、更に行列まで見つけてくれたら、すごく嬉しいですね。今はなかなかね、そういうのを見る機会もないんじゃないかって思うんです。


―― 完成してみて、面白かったとか、大変だったという部分はありましたか?

中村:作っているときはそれなりに頑張って大変なつもりでいて、このページをもっと良くできるかな、というのがありますね。できてしまうと、「あ~、こんなものか、大河の一滴」って感じなんで、ちょっとがっかりするんですけど。
一同:(笑)。


―― じゃあ、わりとできあがる工程を楽しまれているんですか?

中村:そうですね、どっちかって言えば、そう。でも、たくさんある絵本の中の1冊ですから、「この絵本がどこかで目に止まるかしら」っていう思いがいつもありますね。
林:作っている時が一番盛り上がるというのは、誰でもそうじゃないですか。絵本ができたときは、今までで一番いいものができたと思って、やっているんです。
中村:この人はね、いつもそう言っているんです。
林:もう、その時期はね、これが一番いいものだって思ってますよね。
中村:平和な人です。
一同:(笑)。


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■ 初めての絵本、『ふしぎなナイフ』     


―― 絵本作家としてのお二人についても、少しお伺いいたします。最初の作品は『ふしぎなナイフ』。それまでお二人とも広告に関連するお仕事をされていたと思うのですが、絵本を描かれるというきっかけは何かあったのでしょうか?

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ふしぎなナイフ』 中村牧江・林健造 さく 福田隆義 え 福音館書店


中村:『ふしぎなナイフ』を制作していた頃は、本当に絵本業界とは全然関係なくて、広告の世界で仕事をしていたわけですね。林が、「絵本をやりたい」っていうことを常々、言っていたけれど、何となく聞き流していて。ただ「ナイフのフォルムがすごく美しい」「ナイフの形にひかれる」なんてことを言っているのは心にとまっていたんです。
 何かの時に、それだったら、ナイフで絵本ができるんじゃないかなと思ったんですね。じゃあ、どうやったら絵本ができるかなって思ったときに、絵本のことは何にも知らないですからね。知らない強みというのもあって。

 よく子どもがお膳に水なんかをこぼすと、すぐ手のひらでばーっと触りますよね。そうすると大人は「いけません」って言うけど、いたずらをしているんじゃなくて、全身で確かめているんですね、こぼした水の感触とかいろいろ。だから、もしナイフを持たせたらやっぱり、いろいろやるんじゃないかと。
 ナイフに限らず、小さい時に、お茶わんをおはしでチンなんてやると、「そういうことをしちゃいけない」って叱られましたよね。大人が見ると、食器をおもちゃにしちゃいけない、というのがありますけど、子どもに、もし自由に手に持たせたらやっぱり、引っ張ったり、つまんだり、落としたり、試したいんじゃないかなと。最初はそういう感じで考えていて。さらにそれをもっとシンプルにしてったのです。

 こういう絵本って今までなかったと思うんですけど、それは私たちがなまじ絵本は、こうあるべきだということを知らなかった故だと思います。

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―― 確かに、視点や発想の出発点がちょっと違う気がしますね。

中村:だから、出版社に何社か持って行ったいきましたけど、みんな「駄目」って言われました。要するに、「こんなものあり得ない」といった感じですよね。
林:「ナイフなんて、危険だ」というのはね、よく言われましたよ。
中村:「言葉が少ないから、すぐおしまいまで行っちゃうじゃないか」とも言われましたね。お母さんは、「買っても損をした」と言うって。どんどんめくって、あ、ねじれる、はい、折れる、はい、すぐ終わりってなるから、「そんなものにお金出して買わないですよ」って言われたこともありますね。でも自分達は気に入っていましたから、めげずに何社も回って。
林:採用して下さった編集の方は、「いや、刺すナイフとこれは別のものだから」って、最初にそう言ったんですよ。「今までこういう風に言われたけども」と言ったら、「いや、それは違うものだ」「面白い」と言って。「これは作りたい」っていう結論が出たんですよね、その場で。
中村:それで、その頃は、林がリアルな絵を描くのにもう一つ自信がないっていうんで、福田隆義さんに描いてもらって。その方は広告の世界でリアルな絵を専門に描いていらしたんですよね。それでお願いをしたわけです。

 例えば、自分では、「ほどける」っていうページが気に入っているんです。やっぱり子どものころに、昔、母親がセーターなんかを編んでくれるときに、古いセーターをほどいているのを、手で持たされて巻き取っていくような、そういう経験があったものですから、すぐに「ほどける」というのを思い付いたんです。
 大きくなったり小さくなったりっていうのはそれこそ、『ガリヴァー旅行記』じゃないんですけど、視点を変えれば、すぐに関係は逆転するわけですよね。それで「ちぢんで」っていうようなことを思いついて。


―― この絵本は発売されてから20年ぐらい経っていて、いまだにすごく人気があって、沢山の反応があるかと思うんですけど。そういう状況について、どう感じられますか?

中村:それは、もの凄くありがたいことですし、励みにもなるし、やっぱり嬉しいですね。何て言うんでしょう、ささやかな幸せを感じますね、そういう声を読んだときにね。作った時は、そういうことも何も考えていなかったんです。ただ自分たちで気に入っっていたというだけで。
 今までのレビューの中で、一番嬉しかったのは、どなたか忘れましたけども、お母さんだったと思うのですが、「この世の中に、こういうくだらないことをまじめに考えている大人がいるっていうことが、すごく嬉しい」とあったんですよ。「ばかなやつね」って言って下さって愛して下さっている、という感じがとても嬉しかったんです。



 

■ 子育てと絵本と・・・     

―― 絵本を制作される時のヒントとして、ご自身の子どもの頃の記憶の他に、子育ての経験も影響されているのでしょうか?

中村:自分が小さかったときの記憶と、自分が子育てをしたときの記憶、両方ですね。『てをみてごらん』は、子どもを、公園に連れて行った時に、ちょうど桜の終わりかけの季節で、花びらがバーッと散ってきたんです。そうしたら、何度も子どもが手で受け止めようとして、そのときに、「ああ、子どもってこういうことするんだ」と思って。必死でこうやって受け止められないんだけど、一生懸命こうやって、そういうイメージですね。だから、やっぱり自分の経験した事と、子どもってそうなんだっていうのが、基調になっているんですね。

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てをみてごらん』 中村牧江・さく 林健造・え PHP研究所


―― その作品でもやっぱり、言葉と絵が同時に浮かびあがって?

中村:ええ。ほとんど同時進行ですね。アイデアというものが浮かんで、それで全体の構成っていうのか、流れが同時に浮かんでくるんです。すると(林さんが)紙で上手に作ってくれる。前に、何か紙でやっていたなということを知っているから、「これを紙でやらない?」みたいに持ちかけると乗ってきてくれて、それできれいな手を紙で作ってくれるっていう感じでしたね。


―― そうやって、どんな絵を描くのかなっていうのを熟知されていて、アイディアの段階からもう組まれているっていうのは凄ことですよね。そんな林さんにとって、絵本というのは、もともと意識はされていたんですか?

林:(絵本を描く前は)僕はデザインをやりながら、生活を含めてね、一生懸命仕事を覚えるとか、いい仕事をしようと広告の方に夢中になっていましたね。
 一方で、書店に行った時に、自分の為に買ってきた絵本3冊がありましてね。日本の作品ではなかったんですけど。自分が絵本を作れるとは思わなかったんですけど、楽しむほうならいけるだろうなと思って。広告の仕事と絵本はちょっと距離があったという事もあって、一般的な感覚で「これは面白い」というのはありましたね。魅力は感じていたんですよね。(その選んだ絵本も)いい絵本でしたしね、展開も面白い。展開がいいっていうのは興味を惹きますね。広告の仕事をやっていたというのもあるのかもしれないけど、1枚のこの画面で見てっていうんじゃなくて、次はこの流れで、何もないけど、前との関係でいいとかね。そういう特性みたいなものが絵本の中にある面白さというのか、最後に閉じたときに、「何か、よかったなあ」という感じがありましたね。

中村:と言いつつもね、自分の子どもが絵本を読む年ごろのときに、殆ど読んでやったことないんですよ。
一同:そうんなんですか (笑)。
林:自分がね、やりたいことがね、そのときは目いっぱいあったんですよ。それは、言い訳かもしれないね。

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中村:私はもう、母親ですから。私はけっこうたくさん読んでやっているんですね、子どもに。あとは紙芝居なんかも、よく図書館で借りてきてやったりしてね。
 それが、子どもが幼稚園なんかに行きはじめて、忙しさが一段落したころに、林が「絵本を作りたい、作りたい」って言いだして。言うだけだけだったの、それも。実際、子どもに絵本を読んであげていないし、買ってこないしっていう人が、何で「作りたい、作りたい」って言うのかなっていうようなね。でも、そんなに作りたいんだったらやっぱり、この人が興味を持っている世界というのはある程度分かりますから、そのなかで、何か考えればできるんじゃないかみたいな、そういう感じですね。
林:自分だけが楽しみたいという気持ちがありますし、身内のほうは何となく照れくさいですよね。
中村:わが子に絵本を読むのが照れくさいって。ねえ。
一同:(笑)。


―― 絵本の制作は、お子様が少し大きくなられてから?

中村:ええ、そうですね。上の子が小学生で下の子が幼稚園ぐらいだったと思います。それでも子どもの反応を見ながら作る、そういうゆとりはなくてね。それよりは、自分たちが面白いなと思うものを作っていましたね。ですから、子どもが生まれたことで作品内容が変化したっていう事はなかったですね。



■ 絵本づくりのおもしろさ     

―― 絵本をつくられるようになって、一番面白い瞬間というのはありますか?

中村:それはやっぱり、自分が何かのアイディアを言ったときに、乗ってきてくれた時ですね。もしかして独りよがりかも分からないけども、自分がいいなと思って、こういう感じで、こういう構成で、こういうふうに使ったらどう?って言って。「あ、それ行こう」という風になった時。何か出来そう、生まれそう、という時ですね。
林:逆もありますよ。僕が、「絵の面白いの、考えたんだけどな」と言うと、「面白くないねえ」って言われて(笑)。そういう時はね、どんなにしてもね、そこはもう絶対に駄目でね。面白いと思っているのになあ、って言うのは沢山ありますよ。
中村:やっぱりほら、どうでもいいアイディアでも、他人だったら、よく考えてから言おうとかっていうのがありますよね。だけども、身内だからって、お互いにちょっと一言つい言っちゃうと、「ええ」って、「よくそんなこと言うわね」って(笑)。


―― お二人の視点から見る絵本というものの捉え方は、他の作家さんとはまた違うのかなと思うのですが。

中村:そうですね、優秀な絵本作家の方っていうのは、子どもというものをよく分かっていらして、こういうふうにしたら子どもが喜ぶだろうとか、こういうふうにしたら受けるだろうってすごく心得ていらっしゃる。私たちはいまだに分からないようなところがたくさんあって、案外と自分が子どもっぽいようなところから入っていくんです。こうしたら子どもの為になるとか、こうしたら今の子に受けるという風にはあまり考えない、考えられないんですよね。そういうのを度外視したところで、自分たちが面白いかどうかで作っているみたいなところがありますね。


―― なるほど。では、今後こんな絵本を作ってみたいというアイデアは、たくさんあるのでしょうか?

中村:やっぱり、その時まかせなんですよね。だから分からないんですよね。そこがやっぱり、絵本作家っていうことではないと思うんです。いまだに何て言うか、絵本作家なんて言われると、そんな大それた存在じゃありませんていう感じで、自分で引いちゃいますね。
林:シリーズとか、続きものはあんまり出てこないかもしれません。1冊1冊がその時によって生まれてくる作品ですから。プランも違いますけど。それに、全然違うものをやりたいなという気持ちはいつもありますね。



■ 絵本ナビ読者の皆さんへ・・・      


―― 最後に、絵本ナビ読者の皆さんに向けて、簡単なメッセージをお願いできますか?

中村:絵本って、長くても開けている時間はせいぜい5分ぐらいですね。でもその5分の間に、お母さんと子どもなのか、お姉ちゃんと弟なのか分かりませんけど、誰かと誰かがちょっとだけ楽しい、ちょっとだけ違う世界に入り込めるっていう、その事が一番嬉しいですよね。見知らぬ誰かが、どこかでそういう時間をほんの5分持ってくれるっていう事が。その事が喜びというか。だから、こう読んでくださいなんて、そんなことは全然もう思いません。とにかくほんのひと時だと思うんですけど、どこかの誰かがちょっと、目と目を合わせてニッコリしているっていうことがあったら、もうそれで十分、それ以上は何にもいらないという感じですね。

―― 林さんはどうでしょうか?

林:うーん、思い付かないねえ。
中村:見てくれる人がいれば幸せっていう。
林:そう、それですね。
一同:(笑)。


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ありがとうございました!

 インタビューの内容からも伝わっているかと思うのですが、とにかくお二人の呼吸がぴったりといいますか、面白いといいますか(笑)。笑いの絶えない、楽しくて優しい時間を過ごさせて頂きました。
 タイプは全然違えど、広告や美術の世界の第一線で活躍されてきたお二人。同時に「これは面白い」と思われた瞬間に、新しい作品が生まれてくるというのが、とても新鮮で印象的なエピソードでした。

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▲最後に記念にパチリ。

 今回取材にご協力頂いた、編集の方にとっても、お二人の存在は特別だったそう。大人になってから出合った『ふしぎなナイフ』という絵本に衝撃を受けられて、いつかお仕事ができればと思っていたそうなのです。『ありさんどうぞ』のラフを見た時に、お二人ならではのデザインセンス、子どもにこびたところがない、そういう部分がやっぱり魅力なんだと改めて思って、「これは是非やらせてください」とおっしゃったそうです。

 そんな大切なこの一冊もまた、世代を超えて子ども達に親しまれていくといいですね。

2010年02月26日

「100かいだてのいえ」シリーズ
岩井俊雄さんにインタビューしました!

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縦に開く表紙、めくりながら100階建ての家を順番にのぼっていって・・・。
発売と同時に、あっという間に子どもたちの心をつかんでしまった絵本『100かいだてのいえ』。
作者は本格的な絵本は今作が初めての岩井俊雄さんです。
更に、下へ下へとおりていく『ちか100かいだてのいえ』まで登場!
一体、こんなアイデアはどこから生まれてきたのでしょう?岩井俊雄さんってどんな方なのでしょう?

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先日、丸善ラゾーナ川崎店さんで開催された「みんなの100かいだてのいえをつくろう!」というワークショップにお邪魔してきました。

★その様子はこちからからどうぞ!>>>

そして、ワークショップを終えたばかりの岩井俊雄さんにインタビューをさせて頂きました!
絵本「100かいだてのいえ」シリーズについて、また絵本作家としての岩井俊雄さんについて、興味深いお話を沢山伺うことができました。

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岩井俊雄(いわい としお)
1962年生まれ。メディアアーティスト。子供の頃に母親から「もうおもちゃは買いません」と言われ、かわりに工作の道具や材料を与えられたことからものづくりに目覚める。1985年、筑波大学芸術専門学群在学中に第17回現代日本美術展大賞を最年少で受賞。その後、国内外の多くの美術展に、観客が参加できるインタラクティブな作品を発表し、注目を集める。テレビ番組『ウゴウゴルーガ』、三鷹の森ジブリ美術館の映像展示『トトロぴょんぴょん』『上昇海流』や、ニンテンドーDSのアートソフト『エレクトロプランクトン』、ヤマハと共同開発した音と光を奏でる楽器『TENORI-ON』なども手がける。2007年、NHK教育の幼児番組『いないいないばぁっ!』のオープニングアニメーションを担当。現在ふたりの娘の父親として、書籍やブログを通して親子の創造的な関係を広めようと精力的に発信している。著書に『いわいさんちへようこそ!』、『いわいさんちのどっちが?絵本』シリーズ(全3冊)、『いわいさんちのリベットくん』(以上すべて紀伊國屋書店)、『100かいだてのいえ』(偕成社)がある。

様々な活動をされてきているからこそ、岩井さんの目を通して語られる「絵本」の話の内容はとても新鮮!じっくりお楽しみください。



■ 絵本『100かいだてのいえ』を描くきっかけ     

“メディアアーティスト”という肩書きで国内外で多くの作品を発表されている岩井俊雄さん。一方で、娘さんと家の中での遊びについてまとめられた本『いわいさんちへようこそ!』でも大きな話題を呼びました。そんな岩井さんが手がけられた初めての描き下ろし絵本が『100かいだてのいえ』です。

―― 絵本『100かいだてのいえ』を描かれることになった、きっかけというのを教えて頂けますか?

 まず大きなきっかけとして、『いわいさんちへようこそ!』という本があるんです。

Ehon_34646.jpg 『いわいさんちへようこそ!』 岩井俊雄著 紀伊國屋書店

 僕はメディアアーティストとして作家活動を長くやってきて、特に知られていたのはハイテクを使って映像と音楽を組み合わせた作品や、子ども番組『ウゴウゴルーガ』のCGキャラクターなどでした。この本を出した時、あの「ハイテクの岩井俊雄」が、家では子どもとこんなアナログなことをやってるんだ、という驚きもあったのか、かなり注目されて。そして、この本を見た偕成社の編集者の方から「絵本を作ってみませんか?」と連絡をいただきました。『どっちがへん?』(紀伊國屋書店)という絵本を出してはいたんですが、まだ発売直後で多分ご覧にはなってなかったと思うんですよね。


―― 岩井さんご自身は、もともと絵本には興味を持たれていたのでしょうか?

 小さい頃はもちろん絵本は大好きでした。「こどものとも」(福音館書店)をよく読んでいましたね。それから、漫画やアニメを通過して、高校に入って美術部に入ったのをきっかけに美術やデザインなどに興味を持ち始めたんです。ちょうどその頃は、安野光雅さん、福田繁雄さんといった方々が注目されていた時期。特に安野さんの絵本は『旅の絵本』、『ABCの本』 など、ビジュアル的に美しいだけでなく、すごく実験的。僕はもともと科学や機械が好きだったんですが、安野さんの数学やだまし絵などを取り入れた絵本を見て、「こんなものが絵本と結び付くなんて」とすごくショックを受けたんです。それからというもの、絵本を作品として見るようになりました。「ピーターラビット」シリーズにしても、精密な水彩画といい、本自体の完成度といい、本当にアート作品に近い。「絵本はすごい。こんな世界が表現できるなら、いつか絵本にも挑戦してみたいな」って高校の頃は思っていました。

 ただ、その後大学に進んでからは、絵本のことが頭に引っ掛かりながらも、ハイテクを使って映像やアート作品を作ることのほうが面白くなってしまったんです。それからずいぶんたって、子どもが生まれたのをきっかけに、『いわいさんちへようこそ!』に載せたようなアナログな表現に戻ってきたんですよね。


―― そして、その本をご覧になった偕成社の方に、今度は「絵本をつくりませんか」と声をかけられて・・・。

 『いわいさんちへようこそ!』を見て、「この人はもしかして絵本を描けるかも」と思ってくれたそうなのですが、それが僕としてはものすごく嬉しかったんです。メディアアーティストとしては、手描きで絵を描いて作品にするという事はまったくやっていなかったし、自分の絵にはぜんぜん自信がなかったんです。娘と遊ぶときだけ、別に他の誰にも見せるものではないし、手描きもたまにはいいかな、という程度の気持ちで描いていた。でも、そんな僕の絵に、プロとは違ったよさを見つけて声をかけてくれたので、素直に「うれしい、やってみたい」と思ったんです。僕にしてみれば、20年ぐらいお預けにしておいた絵本への思いというのが、急に蘇ってきたような感じがあったんですね。

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■ 自分らしい絵本ってなんだろう     


―― そこから具体的に絵本の制作に入っていく訳ですね。どんな風にアイデアが固まっていったのでしょう。

 『いわいさんちへようこそ!』の中で紹介した遊びやおもちゃは、作品的に作ったものじゃなくて、例えばトイレトレーニングのためにシール遊びをしたり、レストランでぐずった娘を、僕が箸袋を使っておもちゃを作ってあやしたりという、すごく現実的な生活の中で生まれてきたものです。絵本のアイデアも、できれば同じように生活の中から自然にでてきたらいいなって思いました。

僕は、絵本そのものだけじゃなくて、作者の生き方や、絵本が生まれた経緯なんかにも昔からとても興
味を持っていたんです。例えば、『ピーターラビット』は、作者のビアトリクス・ポターが病気の男の子に宛てた手紙から生まれたという話や、レオ・レオニの『あおくんときいろちゃん』は孫との遊びが絵本になった、というエピソードなど、昔からいいなあと思っていました。あとトールキンの『サンタ・クロースからの手紙』という本が、高校生の頃大好きで。いつか自分が親になったら、ああいうお父さんになりたいと思っていましたね。

 そういうこともあって、僕も子どもとの付き合いの中から自然に絵本のテーマが生まれないかな、と漠然と思っていました。その頃、ちょうど娘が小学校1年生になって、数字の繰り上がりで苦労しはじめたんです。それを見て、「これは絵本になるかもしれない!」と。


     
―― 『100かいだてのいえ』のアイデアのベースは「子どもに算数を教える」というやり取りからだったんですね。

100kai_2.jpg  『100かいだてのいえ』 岩井俊雄・作 偕成社

 そうなんです。昔、安野光雅さんのアルファべットや数字をテーマにした絵本に興味があったこともあって、自分なりの数字の表現を絵本でやってみたいな、と思い始めました。

 また一方で、僕はメディアアーティストとして、コンピューターでもテレビでもゲームでも、当たり前になっている表現をちょっとずらして新しくする、ということをずっと追求してきたので、絵本というお題をいただいた時にも、自分らしい何か新しい表現ができないか、という気持ちもあったんです。

 そうやって数字のことと、新しい表現のことを両方考えていく中で、建物をモチーフにした縦に開く絵本、というアイデアが生まれてきました。「数字が増えていくんだったら何で表現しようか。リンゴを並べるのか。それじゃ面白くないな。数字が増えていく感じを実感できるモチーフはないかな……そうだ、建物を登っていくのがいい。じゃあ絵本を縦に開いて高さを表現したらどうだろうか?」と、自然につながっていったんですね。

 『100かいだてのいえ』を出したら、縦に開く絵本、というのが注目されたことに加えて、ちょうど子どもが数字に興味を持っててすごく食いつきが良かったとか、子どもが100まで数えられるようになりました、とすごく喜ばれて。やはり、どこの家庭も同じなんだ、身近なところからテーマを見つけてよかったな、と実感しました。


―― 岩井さんの目を通して、「絵本」というものにどう向き合われながら制作されていったかという部分に、とても興味を持ってしまいます。

 いきなりバーンと全部のイメージが浮かんだわけじゃなくて、絵本に対して素人だったということもあったので、少しずつ手探りで面白いことを見つけながら作っていったという感じです。その時に支えになったのは、普段から子どもたちと同じ目線で遊ぶ、おもしろがる、ってことをずっとやってきたことかなと思うんですけどね。

 わが家の子どもたちとの暮らしについてブログに書いているんですが、子どものちょっとした遊びや発見の中にも物語があるなあってすごく思うんです。例えば、子どもが身近なものに何か面白さを見つけて遊びが始まり、それをさらに発展させていくうち、たまたま近くにこういう材料があったからこうなったとか、その遊びの過程をつぶさに書いていくと、本当に1つの物語みたいになってくるんですよね。それがすごく面白い。絵本になるかも、って思うようなエピソードもかなりあります。
 逆に、例えば買ってきたおもちゃを、いきなりドカンと渡すと、もうそのおもちゃで満杯になっちゃって物語は生まれない。完成形が見えないからこそ、手探りで少しずつ作り上げていく過程が、遊びでも絵本でも一番面白いですね。



■ 体験していく絵本     


―― この絵本に寄せられているレビューを読んでいて面白いなと思うのは、この絵本を例えば夜とか読み聞かせしていても、とにかく時間がかかって大変という声が多いということ。確かに、建物の絵というだけでもワクワクしてしまいます。更に1階から順番に部屋を一つ一つたどっていって。細かく見ていくところがたくさんあって・・・。

 2本の小さい指で、階段をたどってくれたりするのを想像するとね、もうたまらないですよね(笑)。

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―― たまらないですね。でも時間は当然かかるだろうなと(笑)。

 実は、読み聞かせというのはあまり想定していなかったんです。この絵本の制作がスタートした頃、僕は長女とは手作りおもちゃを熱心にやっていたので、絵本の読み聞かせをする父親じゃなかった。今は下の娘に徐々に読み聞かせするようになったんですけど。実は、僕自身読み聞かせをしてもらった記憶がほとんどないんです。僕は早くから文字が読めたらしくて、勝手に読んでたって親が言ってました。それもあって、僕の絵本のイメージは、読んでもらうものではなくて自分でめくって読むものだったんですね。

 『100かいだてのいえ』は最初、安野さんの『旅の絵本』のように、文字のない絵本にしようと思っていました。初めのプランはもっと幅の狭い細長い絵本だったんです。だけど、編集さんから「これはストーリーがあった方が良くなる」というアドバイスがあって、文章を入れることにしました。その分、本の幅も広げることになって。結果的には、ストーリーをつけて正解だったなと思っています。本の幅を広げたことで、周りの風景も見えてきたのもよかった。そういう試行錯誤がありました。


―― こんな風に読み聞かせて・・・というよりも、自分でたどっていって楽しむ様子を想像しながら作られていたんですね。

 僕自身が子どもの頃そうだったので、1人遊び的な絵本を想定していたんです。
 逆に、絵本が出版されてから、色々な方から「寝る前に読み聞かせをしています」とか、「幼稚園でも読み聞かせをしました」って聞いてびっくりしたんですよ。縦長で、絵が細かいこの絵本を、多人数の前でどうやって読み聞かせするんだろう、と。自分の中では読み聞かせのイメージがなかったので、「そうか、絵本は基本的に読み聞かせされるものなんだ」という、軽いカルチャーショックを受けると同時に、読み聞かせを考えてなくて申し訳なかったな、と思い始めました。でも、子どもたちがとても楽しんでいる、と聞いてホッとしました。絵本に関してはそれくらい素人だったんですよね。
 だから、『100かいだてのいえ』のビッグブックを作れることになった時は、「これは読み聞かせに絶対に向いたものにしよう」と思って、思い切って開き方を変えて縦長にしたんです。


―― このビッグブック、形を見ただけでもワクワクします!

Ehon_30115.gif 『ビッグブック 100かいだてのいえ』 岩井俊雄・作 偕成社



■ 絵本で好きなものを描ききる     

中を開けば、子どもたちが時間を忘れて夢中になってしまう程様々な動物達と色々な部屋が描かれているんです。具体的な部屋のイメージのアイデアについても少し伺ってみました。


―― 『100かいだてのいえ』の中に登場する様々な動物たちと、そこからイメージされた部屋の数々がとても面白くて。そういう具体的なアイデアというのは、家の中からだとか、娘さんとのやり取りの中から生まれてくるのでしょうか?


 まず最初に描いたのはネズミの階なんです。このイス、テーブル、照明などの雰囲気、実は自分の家を参考にしているんですよ。キッチンとか置いてある皿や鍋とか、まさにこんな感じ。うちの奥さんは見て苦笑してましたけど(笑)。家そのものはこんなじゃないですけどね。でも、家具とかの絵を描き始めてハッと気がついたんです。家にある家具や照明というのは、自分が気に入って買ったものばかりです。絵本で描く部屋のインテリアや家具も自分が気に入るように描くわけだから、ああ、一緒だなって思ったんです。自分で家を建てて、いろんな家具や照明などを一生懸命選んだ体験が、絵本作りにもすごく活きたんですよね。

 わが家での子どもたちとの遊びも絵本の中にかなり引用しています。キツツキが飛ぶ練習をしているターザンロープは、似たものがうちにもあるんです。地下の仕事場の天井をロープでつないで遊べるようにしてあって、子どもたちに大人気。そういう現実の遊びは、絵本の中でもリアルに楽しさが伝わる気がしますね。


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 ネズミの家からスタートしたのは、まずは人間と同じような家を描きたいと思ったからです。ネズミは人間の家に住み着くなど、どこか人間っぽいイメージがあるので。急に突飛な家から始まるよりも、人間に近い家でスタートして、徐々にそれがリス、カエル・・・とずれて変わった家が登場していく、ということを考えました。普通の部屋を、それぞれの動物に合わせたインテリアや家具に段々と置き換えていくのがすごく楽しかったですね。


―― それぞれの部屋には岩井さんの好きなものや形がたくさん描かれているんですね。

  当然ですが、やっぱり好きなもの以外は描けないですよね。嫌いなものを描く必要もないし。
例えば、好きな家具をいっぱい家に揃えたいと思っても実際にはお金の制約があるし、売っているものが100%気に入ることもなかなかないですよね。この部分や色が気に入らないとか、もうちょっと小さければいいのに、なんてこともあります。現実の家の中って、いろんな妥協によってできてる世界ですよね。
 ところが、自分が絵で描く部屋は妥協する必要がないんですよ。とにかく好きなものだけを詰め込める。これまでメディアアートでいろいろな作品や空間を作ってきましたが、常に材料だの機材だの、妥協したりあきらめたりする部分が大きかったんです。それが、絵本を描き始めてみたら、「絵本というのは、一個も妥協しなくていいんだ!」ということに気がつきました。あたりまえかもしれないんですけど、まったく違った分野でもの作りをしてきたので、「思い切り好きなものばかり描ける」というのが目からうろこでした。
 自分がその動物になりきって住みたい家を考える作業も楽しかったです。実際に我々が、こんな変わった部屋に住んだり、変な形の家具を使うのは難しいと思うんだけど、まず動物を10種類決めて、その動物になりきって僕が家をデザインするつもりで、それぞれの動物の個性から家の様子を発想していきました。


―― それでは、この作品を作った後というのは、もう、本当にすっきりされたという感じですか?

 そうですね。確かに部屋を100個考えて描くのには苦労しましたが、自分の頭の中にある「こういうものが自分は好き」というのを全部出しきる満足感をこれだけ感じたのは、絵本が初めてでした。
 また、そんな風に自分を出し切って描いた絵本を、今度は子どもがすごくリアルな体験として読んでくれるのがうれしいですね。例えば、これが額に入った1枚の絵だったら、「面白い絵だね」とは言ってくれるかもしれないけど、本当に登っていく感じを体感する様なところまではいかないですよね。それが、絵本の場合はただ絵を見るんじゃなくて、自分でページをめくる。ページをめくることで、本当に上に登って いく気分になれる。
特に僕の絵本の場合、ページめくりが単なる場面転換ではなくて、自分がその空間を進んでいくのをリアルに体感できるようにしたところが特徴だと思うんです。今までメディアアーティストとしてインタラクティブな作品を作ってきたので、それと近いことを絵本でもやりたかったんですよね。


―― 最後の、エレベーターでピューって降りて家に帰る、という場面も、すごく好きです。

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 100階まで一生懸命登ったあとは、一気に降りたら面白いな、というイメージは最初からありました。それで、エレベーターを使おうと思ったんですが、エレベーターがあるなら、どうして最初からそれを使わないのか、そこをちゃんと描かないといけないと思ったんですね。それで、一番上の階ににクモがいる、というイメージが段々出来てきたんです。

 そもそも、この『100かいだてのいえ』に登場する動物は、小動物や虫など、家や巣の中にいそうなものを選んだんです。鳥なら、木の洞の中に住んでいるキツツキとか。ライオンとかゾウとか、サバンナで走り回ってたり、大きい動物は似合わないので出しませんでした。それで、一番上を誰にするかという時に、一番上に住む動物がこの家全体を造ったことにしようと考えたんです。つまり、最後の種明かしとして「あ、このひとたちが造ってたんだ!」と驚かせつつ、それがこの家のオーナーで、これまでの動物たちは間借りしていたんだ、という状況もなんとなく伝えようと思って。

  で、家を造る、巣を作るみたいな所から考えるうちに、クモがひらめきました。そして、クモが自分のおしりからピューッと糸を伸ばして降りてくるイメージが、エレベーターにつながると思いついたんです。でも、最初からエレベーターがあるのはまずい。それで、「工事中」でまもなく完成するところ、という設定にしました。完成したばかりのエレベーターに一番に乗せてもらうとか、それによって物語性を深められたと思います。そういった細かい設定は、最初の縦に進んでいく建物にしようというアイデアから、少しずつ僕の頭の中に固まっていったイメージなんですね。



■ 次は下へ下へ・・・『ちか100かいだてのいえ』     

『100かいだてのいえ』は大好評!そして続巻として登場したのが『ちか100かいだてのいえ』。今度は下へ下へとおりていく地下100かい建ての家のお話です。主人公も女の子に変わって、めくり方も上と下が逆になって。その新作についても伺ってみました。

tika_2.jpg 『ちか100かいだてのいえ』 岩井俊雄・作 偕成社


―― 続いて登場したのが『ちか100かいだてのいえ』。今度は地下の家のお話ですね。最初からアイデアはあったのでしょうか?

 前作の『100かいだてのいえ』を作るときに、コピー用紙でダミーを作ったんです。その時に、何も考えずにカレンダーの様に上を綴じました。それでめくってみると上にいかないで、下へ下へいく感じがしちゃったんです。普通、縦開きの本を作るというと、上をとじますよね。だから僕も何気なくホチキスで綴じた側を上にして絵を描いたんですが、「あれ、なんか上にいかないなあ」と。それで上下逆にして作り直してみたら、うまくいったのでホッとしました。
 その時にふと「待てよ。本を逆に綴じれば下にいく話ができるってことだな」と思ったんです。その後『100かいだてのいえ』が完成に近づいてきた頃には、段々と僕の中でイメージがふくらんできて、担当さんに「次の絵本がもし出せることになったら、今度は地下が描きたいです」なんて半分冗談で言っていました。
 その頃から、地下だったら温泉の噴き出す力で動くエレベーターとかどうかな、などと温泉や火山のイメージを、最初から考えていました。


―― 『100かいだて』と『ちか100かいだて』は対になっていて。『ちか100かいだて』の方は、当たり前ではあるんだけれど「土」の匂いがすると言いますか、「生活感」というのがより漂っているような気がしますね。

 100個の部屋が縦につながっているという基本構造は踏襲するとしても、前作と同じと思われてはまずいので違った感じ、例えばちょっと暗くて怖い雰囲気にしたいなとか考えていました。でも、具体的に描き始めてみてすごくよくわかったんですけど、『100かいだてのいえ』のほうは背景が空。基本的に空って何もないんですよね。雲が浮かんでいたりするぐらいで、本当に文字通り「空っぽ」ですよね。例えば、ミツバチやキツツキが食べものを運ぶ、ミツを集めたり虫を集めたり、というのも、結局空からではなく地上から運んでこなけりゃならない。ところが地下の場合は、家の周りにある木の根っこだの、土だのから直接恵みを集められる。ぜんぜん違うな、と思ったんです。


―― なるほど!言われてみればそうですね。

 よく考えると僕らが使ってる木や石などの家を造る素材や、野菜や果物などの食べものって、全部地面からきてますよね。だから地下のほうが生活感がリアルに出せるんじゃないか。僕らは大地に守られて生きてるんだ、というと大げさだけど、そういう感覚が伝えられるのではと思い始めたんです。それで、動物たちが家の周りにある土や木の根っこや、宝石や金などをうまく利用して自給自足的な暮らし方をしている風景を描いたんです。それは僕が自分の家でそういう暮らし方をしたいなと思ってることもあるんです。庭で家庭菜園やったりとか、身近な材料でおもちゃを作ったりするような自分の生きる姿勢ともつながってるんですよね。


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―― 「上へ上へ」という世界と、「下へ下へ」という世界というのは、実はすごく違うものなんですね。

 実際に、世界には100階建て以上の建物はあるけど、地面の下に100階もある建築っていうのは多分ないと思うんです。だから、逆に自由に面白く想像できました。それから地下の場合、自立した塔として描かなくてよいので、ダンゴムシの階のように部屋と部屋を自由につないだ家も描けました。

 あと、前作では住んでいる動物同士の関係が希薄だったので、『ちか100かい』では、全体の住人のつながりを作りたいなと思ったんです。それで最後のパーティの場面に向かって全員が準備していて、最後には全部の動物が集結する場面を描きました。ちょっと謎解き的なストーリーも入れて。

 そんな風に、第一作より少しでも良くしようと思って(笑)。まだまだ勉強中ですね。絵もね、前よりもうまくなりましたねって、偕成社の方に言われたんです(笑)。


―― うちの息子はハリネズミさんの宝石の部屋が大好きで、いいなあって言うんです。男の子なんですけどね。

 そうそう。宝石には結構、男の子も反応してくれるんですよね。特に、ハリネズミの階に登場する七色に光る石は大人気で、さっきワークショップに来てくれた女の子も、もし自分がみつけたら絶対誰にも渡さないって言ってました(笑)。僕はもともと光るものが好きで、メディアアートでも光の作品をたくさん作ってきました。なので絵本でも描きたかったんです。化石や、土を掘る機械なんかも、子どもの頃好きだったし、『ちか100かい』では、より趣味性の高いものを詰め込んでいる感じですね。


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 僕は実は3人姉がいまして、4人きょうだいの末っ子なんですよ。それで女の人に慣れているといいますか、ママたちばかりの集まりの中に男1人だけでも、全然違和感がなくて。娘たちとの遊びも得意だし。僕は男だけど、たぶん女性的な部分もあると思うんですね。今回の『ちか100かい』は、化石、機械、宝石、お菓子など、自分の男の子的な部分と、女性的な部分をそれぞれ両方最大限出して描いた感じです。男の子っぽい絵本、女の子っぽい絵本って絵本によってありますが、この絵本が、男女両方に受けるのはそのせいかな、と思います。


―― 『100かいだてのいえ』のワークショップで子どもたちが描いている絵の内容も、男の子、女の子、というのを意外と超えているんですね。

 そうなんです。あと年齢もあんまり関係ないですね。下は2~3歳から大丈夫ですし、感想ハガキを見ると、意外と10~12歳位の子まで楽しんで読んでくれてるみたいです。絵本だから、子ども向けが大前提ではあるけど、でもやっぱり大人である自分が面白いものを描かなきゃっていうのはあるんです。自分が思い切り楽しんで描けば、読者の年齢はそんなに気にしなくていいと思うんですね。感想ハガキに、「大人も楽しめますね」って、子どもが書いてきたこともあるんですよ(笑)。


―― 描いていて、子どもの頃の記憶が蘇ってくる、という経験もありましたか?

 子どもの頃好きだったものとか、こんな遊びをしたかったな、というのはあちこちに入ってますよね。どろんこ遊びだとか、大人に止められちゃうようなこと、そういうものをあえて描いてみたい、と。描いていてやっぱり気持ちいいんですよね。これぐらい派手にやりたいなあ、って。



■ 自分の中に残っている子ども性     


―― 絵本を読んだ子どもたちからの意外な反応など、印象に残ったものはありますか。

 逆に、意外じゃない反応で驚いていますね。例えば、どろんこ遊びとか、とかげのしっぽが切れるシーンとか、七色の宝石だとかって、こういうのは受けるかも?、と思いながらそれぞれ描いたんですが、ものの見事に、感想ハガキにその部分を「○○が好きです!」と書いてきてくれるんですよね。描いたほうとしては、もうニンマリしちゃうんですけど。そういうのを見ると、自分の中にある「これ面白い!」という感覚は、誰でも共通なんだなと感じますね。

 自分の子ども時代を思い出しながら描くというより、自分の中にある子どもの部分を最大限に使うということなのかな。子どもの遊びって、ハイテクなゲームなどを見ると表面的には変わってるように思うけど、一番原点の部分ではあまり変わってないと思うんです。自分はもう四十代後半だけど、自分が描いたひとつひとつのシーンが子どもたちに喜ばれると、自分の中に残ってる子ども性と、平成に生まれた子どもたちが、実は一緒、ちゃんとつながってるいうことを実感して、すごく幸せな気持ちになりますね。


―― 絵本の場合は、発売後にまた反応が大きく返ってくるというのがまた面白いですよね。そこからがまたスタートというか。

 本当にそうです。今日のワークショップ(※)みたいに、絵本を元に子どもたちがさらに発展させていってくれる。『ちか100かいだてのいえ』につけた「みんなの100かいだてのいえ」(※)への応募はがきは、もう2千枚ぐらい来ているんですけど、日本中からそれだけのリターンがあるというのは本当にすごいことだと思います。
 僕はこれまでインタラクティブに映像を触ったり、音楽を作ったりという様なことができる作品を展覧会などで発表してきたんですが、子どもたちが家の中で絵本とつきあってる時間というのは、展覧会なんかよりもっとずっと長いじゃないですか。小さい子にとってはものすごく濃い時間だと思うんですよ。全然違いますよね。

※ワークショップの様子はこちらから>>>
※「みんなの100かいだてのいえ」ウェブページはこちらから>>>


―― 子どもたちが絵本の中で体験してるっていうのが、見ていてわかりますよね。

 子どもたちにとって絵本とのつきあいは生活の一部ですよね。だからこそ、すごくやりがいのある仕事だなと思い始めています。僕は小さい頃、『そらいろのたね』がすごく好きだったんですけど、その本の事を思い返すと、いまだに温かい気持ちになれるんですよね。絵本の中には実は「たね」自体が描かれてないんだけれど、空色のたねって、どんなふうに見えるんだろうと、想像した感じまで思い出せるんです。これってすごい事ですよね。最後に家がぱっと消えるところは、本当にハラハラドキドキして。40年以上たって、まだ覚えてるんですよね。
 だから僕の『100かいだてのいえ』も、「あの絵本は面白かった」とか「あの時自分で考えた家はこうだったな」とか、今の子どもたちが大人になって思い返してくれたら最高ですよね。



■ みんなでつくる100かいだてのいえ     


―― 今日の様な「みんなの100かいだてのいえをつくろう!」というワークショップは、丸善ラゾーナ川崎店さんが最初に考えだされた事がきっかけだったそうですね。


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※この日、丸善ラゾーナ川崎店さんで「いわいとしおさんと100かいだてのいえをつくろう!」というワークショップが行われました。様子はこちら>>>


 僕は、以前から参加性のある作品をつくっていたこともあって、それをさらに発展させたワークショップや小学校での特別授業なども積極的にやっていました。子どもたちから、何かを引き出すことが好きなんです。

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光のえんぴつ、時間のねんど―図工とメディアをつなぐ特別授業』 岩井俊雄著・美術出版社
※小学生のためのユニークな特別授業がまとめられた本です。

 それで、絵本ではどうしたらいいのかな、と思うところがありました。自分の絵本が、各家庭で読み聞かせされているというのは、ある種インタラクティブでいいことなんだけど、受身的でもありますよね。本当は、自分の絵本をきっかけに、子どもが触発されて何かを創り出すみたいな所までいってくれたら理想だな、と思っていたんです。
 物語性の強い絵本だと、どうしても読者は受身になりがちなイメージを持っていたんです。絵本の中には、五味太郎さんの『らくがき絵本』の様に直接子どもが絵を描いて参加できるものもあるし、『100かいだてのいえ』を作る前は、自分が絵本を作るなら、そういった参加性があるほうが自分らしいのかな、とも考えたりしました。ところが、実際にこの絵本を出してみたら、近所のお母さんが「子どもがこんな家を描きました」と見せてくれたりして、子どもが予想以上にリアクションしてくれてることがわかったんですよ。

 そんなことがいくつかあってしばらくしたら、丸善ラゾーナ川崎店の書店員の方が、店頭で『100かいだてのいえ』を使った参加型の企画をやってみたいと言ってる、って担当さんから聞いたんです。「それはいいアイデアですね!」と、すぐに専用の用紙をデザインして使ってもらいました。結果それがものすごく好評だったので、もっと広めたいなと。最初は、自分のブログでやろうかなと思ったんですけど、描いた絵をどう集めるかとかいろいろ難しい。それでなかなか実現できずにいたんですが、『ちか100かい』が出る時に、急に偕成社さんから愛読者カードを参加型のものにしてもいい、という話が出たので、やった!っていう感じでできたんです。


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↑『ちか100かいだてのいえ』には、「みんなの100かいだて」に参加できる愛読者カードが付いていて、特設HPの方に毎週アップされていきます!こちら>>>


―― 絵本を読んだ事がきっかけで、子どもたちにこんな発想が生まれくる・・・というのは見ていて、本当に面白いでしょうね。

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 子どもたちって、面白い歌を聞けばそれを歌いたくなるし、面白いものを見れば描きたくなりますよね。だからその受け皿として絵本の中に絵が描けるハガキが入っていて、なおかつ、それが家の中のらくがきで終わらずに、日本中の仲間とつながっていくっていうのはすごくいいんじゃないかと。


―― つながった瞬間っていうのは感動するでしょうね。

 ええ、そのつながった時の感動がまた刺激になってさらに次に、となるといいですね。「みんながこんなの描いてるんだったら、もっとこうすればよかった」って思う子もいるでしょう。ただ、絵本一冊につきハガキ一枚でもすごい数が届いているので、これ以上増えたら大変なことになりそうですが(笑)。


―― 「みんなの100かいだてのいえ」では、描く時のアドバイスというのはありますか?

 自分の好きなものや、こだわりをなるべく詰め込んで欲しいですね。詰め込めば詰め込むほど面白くなってくるんです。僕がこの絵本を描くときがそうでした。さらりと描いたものより、ディテールにこだわり始めると、すごく面白くなってくるんですよ。今日のワークショップでも、そのレベルまで来てるなっていう人たちが何人もいましたね。最初は「何描こう・・・」という感じなんだけれど、描いていくうちにどこかに臨界点があって、それを超えると面白くてやめられなくなるという感じ。そこまでいって欲しいと思います。



■ 絵本を読んだ後にも     

―― 絵本を通して親子でこんなふうに触れ合ってほしい、という事はありますか?

 絵本というのは、結局は人がつくったものなんです。読み聞かせで親子ならではのコミュニケーションができるという、メディアとしての良さはありますが、すでに出来上がった世界を味わうという意味では、テレビなんかと同じで受身に近い部分もあると思うんです。本当は、外に出て遊んだりしたほうがいいのでは、と思うところもあります。

 でも、「みんなの100かいだてのいえ」みたいに、うまくやれば子どもが絵本から感じ取ったことを、絵に描いたり、何かを作ったり、そういうクリエイティブな事につなげることがやりやすいメディアだと思うんですね。例えば、テレビでどんなに面白いものを見ても、子どもがテレビ番組を作るわけにはいきません。しかし絵本は、紙の上に印刷されたものだから、真似して描けるし、似たような絵本を作ろうと思えば作れる。うちの娘も、よく自分で紙をホチキスで綴じて本やノートの様にして遊んでいます。そんな風に本というのは、いつの時代になっても僕らの身体にすごく近い、生活に密着したものなんですね。子どもたちが持っている「表現したい!」っていう気持ちにすごく寄り添えるメディアだと思うんですよね。

 だから子どもと絵本を読んだあとには親子で絵を描いたり、絵本をきっかけに一緒にお話を作ったり、と世界が広がっていったら、すごくいいなと思いますね。絵本を一方的に詰め込むというよりは、いい刺激を入れたことによって子どもから何が出てくるか、親がしっかり見て伸ばしてあげる気持ちで、絵本を読んであげるのがいいんじゃないかと思います。


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―― 岩井さんの中でも、『100かいだてのいえ』シリーズの制作を通して「絵本」に対する発見が色々とあったのでしょうね。

 子どもが送ってくれた感想の中で、「ページのめくり方が逆でびっくりしました」っていうのもあるんです。5歳の女の子から「こんな絵本見た事がない」というのも。たった5歳の子でさえ「本とはこういうもの」という既成概念がはっきりあるという事が面白いなあ、と。『100かいだてのいえ』は、読み聞かせがしにくいというお母さんたちの意見はあるのですが、子どもたちのほうはまったく気にしないようです。逆に新しさを楽しんでくれている感じがします。

 テレビでも映画でも、世の中には横長のものが多いですよね。人間の目が横に並んでいるから当然といえば当然なんだけど、だからこそ縦にしてみると意外性がある。特に、この絵本のように上へ登っていく感じは縦じゃないと出せないから、使わない手はないですよね。絵本だからこそこれができる!ということを、言いたいですね。

 それから、本ってどこから開いてもいいっていうのがありますよね。映画やゲームというのは、やっぱり最初から順番に見ないといけないけど、本は、パッとどのページでも開ける。それを利用しようと思って作ったのが、『どっちがへん?』などの絵本だったんですよね。

 そんなふうに、本の形はそのままでも、アイデアによってはまだまだいろいろできるんじゃないかって思っています。


―― 今後、どんな考えが出てくるか、その辺りも楽しみにしていていいんですね。

 そうですね。でも一方で、普通の絵本もいいなと思い始めてるんです。先ほども言いましたが、僕には絵本を読み聞かせしてもらった記憶があまりないんです。でも、逆に僕の父は本も何も使わずに布団の中で寝る前にお話をよく聞かせてくれたんですね。しかも、それは父の創作童話でした。レパートリーがいくつかあって、姉が3人いたので、4人めの僕の時には、たぶんかなり話し方もこなれていて(笑)。僕はもう、毎晩すごく楽しみにしていたんですよ。そんなことができた父はすごかったな、というか、今はすごく感謝しているんです。そういう体験があるので、僕も父には負けられないと、娘と一緒にお風呂に入る時は即興でお話を作って話したりするんですよね。

―― 私も息子に言われてやっていたんですけど・・・かなり難しいですよね。

 僕も苦手だったけど、だんだんできるようになりましたね。もちろん、毎回面白い話にはならないかもしれないけど、即興性があるからこそ、子どもは喜んでくれるんですよね。例えば、子どもに3つ何かを言ってもらって、それをつないでお話を作る三題噺みたいなもの。大変だけど、実際やってみると思いがけない物語が生まれたりして、僕自身にもいい訓練になってます。
 口に出す、耳から聞く話っていうのは、読むのとはまた全然違いますよね。無駄がなくて。文字で書いちゃうと、かなりそぎ落としたと思っても、あとから無駄がいっぱい見つかるんだけれども、即興で語る言葉って、その場で子どもがあっち向かないように一生懸命やるからいいのかもしれないですね。


―― 絵本作りのヒントが隠されていそうですね。

 こんな風にいまやっている事が、もしかして将来絵本につながるかもしれませんよね。これまで使ってなかった部分を自分からどれだけ掘り起こせるかということでも、僕は今、すごく新鮮に絵本というものと向き合っているというか、可能性を感じているんです。45歳ぐらいから急に絵本を描くことになったんですが、まだこんな人生が自分に待っていたかと思うと、面白いですよ。また新たなスタート地点に立ったみたいで。


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―― ありがとうございました!


<最後に・・・>
理路整然と話される岩井さんを前に、少し緊張。でも、子ども達の素晴らしさについて話される時のほころんだ表情に嬉しくなって、ついつい長い時間お伺いしてしまいました。
岩井さんと絵本。今後どんな風に向き合われていくのか本当に楽しみです。

2010年02月25日

「いわいとしおさんと100かいだてのいえをつくろう!」
丸善ラゾーナ川崎店さんでワークショップが開催されました。

先日(2010/1/17)の日曜日、丸善ラゾーナ川崎店さんで
「いわいとしおさんと100かいだてのいえをつくろう!」という
ワークショップが開催されるという事でお邪魔してきました。
丸善ラゾーナ川崎店さんは、この「みんなの100かいだてのいえ」というワークショップを
一番最初に開催されたお店だそうですよ。

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「100かいだてのいえをつくろう!」ワークショップ会場はこちらです。

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机の上にはペンやはさみなど。
そして、一人二部屋描ける専用の紙が用意されています。

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さあ、岩井俊雄さんの登場です!
「この絵本、読んだことあるひとー?」

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「この『100かいだてのいえ』みたいに、みんなも好きな部屋を描いてください。
必ず上と下の部屋につながる階段もつけてくださいね。」
今回は、「冬の100かいだてのいえ」をみんなでつくることになりました!
「お父さんやお母さんも一緒に描いてみてくださいね。」

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早速スタートです!
「うーん、冬と言えば何だろう・・・。」


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一所懸命考える子、手がどんどん進んでいく子。お母さんも真剣です。


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時間が経つにつれ、集中力が増していく子どもたち。


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終わりの時間が近づいてます。ここにもうちょっと描き足して・・・。


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終了~!!
「みんな出来た作品を前に持ってきてくださいね。」

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一枚ずつみんなが描いた部屋をつなげていきます。

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どんどん長くなります!

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「これ、わたしの!」「これ、ぼくの!」

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みんなの描いた部屋を順番に見ていくから、並んで座ってね。

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部屋を暗くして、カメラが乗った台をコロコロ動かしていくと・・・?

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うわー、みんなの部屋が大きく映りました。
 
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岩井さんが、描いた子に質問をしたり、感想を言ったりして、一部屋一部屋紹介してくれます。
思いがけないアイデアが次々と飛び出します。
「かわいいー!」「おもしろい!」「なるほど。」かなり盛り上がりました。
 
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最後に岩井さんが描いた屋上がのって・・・「みんなの冬の100かいだてのいえ」が完成!!
ジャーン!こんな立派なうちが建ちましたー↓
 
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雪がたくさん降ってますねぇ。中には、どんな部屋があるのでしょう?
大きく載せてみました。細かくご覧になりたい方はこちらからどうぞ>>>

2010年02月24日

みんなでつくった「冬の100だてのいえ」が完成しました!

丸善ラゾーナ川崎店さんで行われた、
「いわいとしおさんと100かいだてのいえをつくろう!」
というワークショップで、参加された皆さんが描いた作品が全部つながった
「みんなのいえ」が完成しました。テーマは「冬のいえ」です。

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2010年02月12日

鈴木のりたけさん 「続・しごとば」制作日記その17

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刷りたての「続・しごとば」が我が家に届き
ようやく、続編を描きあげたのだな、という実感がこみ上げてきました。

一番始めに手を付けた豆腐屋さんの絵を見て
ずいぶん昔に描いた絵だな、と思いました。
絵に描き入れてある時計の文字盤に
小さく「102豆腐店」と書いてあるのを見て
なんだこの「102」って?と思いましたが
しばらくして「102=トウ、フ」ということに気が付き、
我ながらあきれ果てたと同時に
そんな小ネタも忘れるほどの時間の経過を痛感しました。
もっと時間が経ったときに
どのくらい自分を楽しませてくれるのか
そんな未来の楽しみもありそうです。

本が仕上がった=制作終了ではありますが
絵本としては、みなさんにお披露目するこれからが本番です。
一冊目の「しごとば」にも増して
見応え十分の内容に仕上がっています。
是非お手にとっていだだき
みなさんの家の本棚でずっと愛され続ける本になりますように
まだ固さの残るピカピカの本を手にして、改めてそう思いました。
よろしくお願いします!


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    『しごとば』               『続・しごとば


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